ヒッチコック「ロープ」 


アルフレッド・ヒッチコック監督

1948年米国映画。80分。

パトリック・ハミルトンの戯曲をヒッチコックが 脚色したもの。



キャスト:

ジェームズ・スチュワート、

ファーリー・グレンジャー、

ジョン・ドール、

セドリック・ハードウィック 

他 



多分ニューヨーク。

窓から たくさんの高層ビルが見えるペントハウスの1室。


2人で 1人の男の首を絞める場面から始まる。

戯曲からの脚色なので 舞台は 全て このペントハウスの中での奇妙な物語。



首絞め役と被害者の この3人は 同級生でお友達。自信家のブランドンと ピアノがうまいフィリップ、そして 殺されたのは ディビット


ブランドン(ジョン・ドール)と    フィリップ(ファーリー・グレンジャー)は 2人してディビットを絞殺する。

2人の会話からは 殺すのは誰でも良かったような。そして彼の遺体を 古書のコレクションを入れていたチェストの中に隠す。


自分たちは 優秀なので 平凡な人間を殺してもいいらしい。

そして 殺人だけでなく ここでパーティを行なって 何事もなく終われば それこそが成功だ ということになるらしい。

パーティには この殺しが行われた この部屋で さらには 遺体の箱の上に 料理を並べる。


パーティの料理を午前中から急ぎ作らせられた女中は 午後には 時間をかけて買い物に出されたのに不満があった。


何も知らない招待客が 集まってきた。

パーティには もう1人の大学時代の友人も 招かれている。ディビット、ディビットの両親であるケントリー夫妻 (妻は 風邪で欠席。)、ディビットの婚約者ジャネット、大学時代の恩師ルパートが 出席する予定。


パーティの食事は いつものキッチンのテーブルではなく、高層ビルの景色の見える部屋の箱(チェスト )をテーブル代わりにして始められる。


いつもなら几帳面に現れるディビットが いつまで経っても 現れない。

当たり前だ。

ディビットは チェストの中。

父親は 心配し、自宅で静養中の妻に電話して 息子と連絡を取ろうとする。もちろん 婚約者の ジャネットも心配する。


皆より少し遅れて、大学の恩師 ルパート(ジェームズ・スチュアート)が 登場。

彼が 結果として探偵役。

ブランドンは 彼の観察眼を警戒しつつも 彼の目も欺こうとして呼んでいた。


遅れて参加したルパートは、パーティでの会話としては 不都合に感じる小咄で 唐突に 「ニワトリを絞めた事は ないか?」と話を続ける。

小心者のフィリップは 動揺し激昂する。

ブランドンは 彼の小心を心配していたが なんとか その場を収める。

ルパートは、「殺人とは 芸術だ。人には 見せないが 芸術だ。」と物騒な話題を続ける。そんな話は 聞きたくないと ディビットの父親が 話をやめさせる。 


ディビットの婚約者 ジャネット (ジョアン・チャンドラー)は、ブランドン達が 同じく招待されていた同級生の 元カレに「復縁のチャンスがある」と話していた事を聞き 怒り、ブランドンを問い詰めるが 彼は 「別れたことは 知らなかった」と しゃあしゃあと はぐらかす。



この日のパーティの名目は ブランドンがコレクションしていた古書のうち 好きな本を ディビットの父親に譲るというのが メインだった。

ブランドンは、あろうことか あの 犯行に使ったロープで 本を縛って渡した。それも 縛った とは言いがたい いい加減なやり方で。


ロープが凶器だと知らない彼らは ディビットが 連絡もなく参加しない「こんなパーティはつまらない」と、解散することに。

他の招待客が 帰るので やむなく帰ることにしたルパートは パーティに出席していないディビットのイニシャルDが入った帽子を間違えて出され ディビットの死の可能性を、推察します。


みんなを帰して 2人になったので フィリップは ブランドンに不満をぶつける。

ブランドンは 成功に酔いしれているが、そこへ 電話が。


その電話は ルパートから

「タバコ入れを忘れたので 戻ってきた」とのこと。ブランドンは 平静を装って ルパートを招き入れる。



フィリップは 動揺して酒が深くなる。

それを尻目に、タバコ入れを探す振りをするルパート。

ブランドンは 万一を考えて上着のポケットに 小さな拳銃を隠し持つ。



「太陽がいっぱい」とは ちょっと違うが 

犯行がバレるか 観客は知ってるけど 登場人物たちに いつ見つかるか というサスペンス。

ルパートが どうなるのか 最後まで息をつけないのは さすが ヒッチコックだった。

これまで ヒッチコックの作品を何本か見ていましたが、彼のポケットには まだいくつも 別の切り口があるみたいです。

「鳥」「レベッカ」が 代表作かと思っている 日本人は もっとヒッチコックを知らないといけません。